思春期の腹痛(過敏性腸症候群)

公開日:2016/07/04

最終更新日:2024/10/31

絹巻 暁子 先生

この記事を監修したドクター

東京大学医学部附属病院小児科 准教授絹巻 暁子 先生

共著:国立成育医療研究センター

中学生など、思春期の腹痛の原因の一つとして「過敏性腸症候群」があります。腹痛に加え、便秘や下痢、またそれらを繰り返すなどの排便異常が慢性的に続く場合があります。食生活やストレスが原因となることもあるため、生活習慣を見直してみましょう。

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群は、特に消化器の疾患が見当たらないにもかかわらず、腹痛や便秘、下痢を繰り返す病気です。腸の運動異常が起こり、刺激に過敏になることで起こります。
食生活の乱れ、ストレス・不安・抑うつなどの心理的要因や自律神経の不調が原因といわれていますが、はっきりとは分かっていません。

治療方法は?

ガスや下痢の原因になる食べ物を控えたり、便秘の場合は繊維質や水分を積極的に摂るようにするなど、バランスのとれた食事を心がける「食事療法」を行います。場合により薬物療法や、「ストレスマネジメント」「リラクゼーション療法」などの心理療法を行うこともあります。

腹痛の原因はさまざまです

腹痛の原因には、「過敏性腸症候群」以外にもさまざまな疾患が考えられます。嘔吐、血便、発熱、体重減少、ぐったり感が強いなどの症状を伴う場合には、医療機関で精密検査を受け、専門治療が必要となることもあります。

腹痛そのものがストレスとなることもあります

摂取した食物が胃に入ると腸が刺激され、便を肛門に向かって送り出す蠕動運動が起こります。食事内容、アレルギー、感染、炎症、心理社会的ストレスなどにより、この胃腸機能が不安定になります。蠕動運動が過剰になると下痢になりますし、逆に蠕動運動が弱くなると便秘になります。過敏性腸症候群では、腹痛、下痢あるいは便秘が慢性的に続いたり、繰り返したりします。胃腸機能が不安定な状況では、刺激に対する感覚が敏感になることが多く、腹痛や腹部不快感として現れます。

また、「いつお腹が痛くなるんだろう」「痛くなったらどうしよう」という不安自体もストレスとなり、悪循環に陥ることもあります。日常生活や学校生活に支障を来している場合には、医療機関に相談することをお勧めします。

腹痛との付き合い方を知ることも治療の一つです

バランスのとれた食事を心がけ、刺激物を避けることが重要です。下痢、便秘、腹痛といった症状に応じた処方薬もありますが、「もしお腹が痛くなったら〇〇しよう」という対応策をいくつか準備しておくと慌てずにやり過ごすことができます。

具体的には、出先でのトイレの場所を確認しておく、リラックスして気分転換できる方法を考えておく、などです。「お腹が痛くなっても○○したら大丈夫だった」という経験があると不安が軽くなり自信につながります。

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